2010/05/20

Design Innovation _ Edward Tufte


今週のデザインイノベーションではエドワード・タフテについて。イエール大学で情報デザインやインターフェースデザインを教えた後、現在は風景彫刻や製版、新しい本の出版に力を入れているそうです。


■タフテのビジネスモデル

タフテのビジネスモデルは本を出版し、収入を得てまた出版すること。
本の出版のために自身の出版社を立ち上げ、今までに4冊(7冊?)出版している。また月に3回ほど開かれる講演会では自分の著書を無料配布しているそうです。







今回の授業ではその中の1冊、Envisioning Informationを例に取り上げてタフテのアプローチの解説。

Escaping Flatland

Envisioning Informationのベースとなる考え。平らな土地を避けて大事なものは上に上げる。
ありすぎる情報をピックアップし強調することでユーザーに伝える。


■Escaping Flatlandをベースとした情報デザインを整理する5つの手法

1:Micro/Macro Readings

MicroとMacroな情報は同時に見ることが出来ない。携帯電話で例えるなら、メインメニューはマクロで、下層項目にいくほどマイクロになっていく。下層になればなるほど、どの位置にいるかわからなくなってしまう。ウェブではパンくずリスト(Home>Works>releaf)を使って自分の位置を把握することが出来る。


プロダクトや建築の中でもMicroとMacroは関係している。
ワシントンD.C.にあるベトナム戦争の戦没者慰霊碑。ベトナム戦争でのアメリカ兵戦死者の名前が彫られている。遠くから見ていると黒い壁のように思うが、近づいて見ると名前が掘られていて慰霊碑だということが分かる。


2:Layering and Separation

情報といってもいろいろな視点の情報があり、その違った視点の情報を重ねて使うか分けて使うかということ。下の書体の図のように、重ねて使うことでより見やすくなるものが多い。ただ情報が重なっていることには変わりないため、注意しないと複雑な情報となってしまう。



3:Small Multiple

小さいものだけが沢山あるほうが分かりやすく、比較しやすい。1つだけ見ていても何かよく分からないものでも、全体像が見えることで1つ1つの意味を理解することが出来、またそれぞれの特徴を比較することが出来る。


4:Color and Information

色は必ずユーザーに情報を与える。色が付いたことで情報を強調することが出来る。


5:Narratives of Space and Time

小さなグラフィックをうまく使い組み合わせることで情報の中に『軸』を加えていく。軸には位置や時間、変化などがある。

ex) Napoleon's March to Moscow
ナポレオン率いる兵隊がKovno(多分リトアニア)とモスクワを往復した間の兵士の数を示していて、422,000人から10,000人にまで減少している。同時に下側には温度を示すグラフもあり、常に温度がマイナスの環境下だったことが分かる。このグラフィックから伝えたいことは戦争で死者が増える原因は戦って死ぬ以外にも温度などの環境にもあるということ。また減少していくほうを赤くしてより強調している。


■彫刻作品 _ Escaping Flatland


森の中にアルミの板を置いた作品。アルミを置くことで森の影の一部が映り、影全体の一部がピックアップされる。
タフテは私たちが生きている3次元の世界を2次元に置き換えることを仕事としているけれど、この作品では2次元をまた3次元で表現していて、そこが面白いポイントになっている。

…と先生から説明してもらったんですが、全体を見てみると3次元ではあるけれど、影が映っているアルミだけ見ると2次元で表現されているような感じがしました。


■iPhoneの例


iPhoneの株価の画面では、上部に会社名などの文字情報があり、下部に株価の折れ線グラフを表示しているけれど、この場合折れ線グラフを一度に表示出来ず、また上部と下部の関係性が分かりにくいことが問題になる。タフテが提案する上の図のように表示すれば6つの会社を同時に比較できる。


先生の話を聞き終えて振り返ってみると、どの方法も情報を整理するための基本ばかり。でも今までに作ってきたものを振り返ると、色を強調することぐらいしか出来ていなかったです。身の回りにあるものっていつも何気なく見ていたけれど、ちゃんと情報が整理されている=見やすくなっているからあまり気に止めることがなかったのかな。見づらいものだったら気になっていつも見てしまう気がする。

ワークショップでは Micro/Macro を使ったアイディア出し。電車とかバスとか交通関係で何か出来そうな気がして考え始めたけど、ありがちなものしか浮かばない><; 電車の混み具合が分かったらいいなと思って、込んでいる車両ほど幅が広がるようなものを考えたけど、Microがなかった…。FRISKのCMじゃないけど、時には俯瞰して見ることもしないといけないですね!

0 件のコメント:

コメントを投稿