2010/06/03

特別講義 _ 澄川伸一さん


今週の特別講義はプロダクトデザイナーの澄川伸一さん。
千葉大卒で、SONYで8年間お仕事された後、独立。千葉大では空間デザインを学ばれていて、千葉大の校舎が西千葉だったり、津田沼で予備校のバイト(?)をされていたそうで、懐かしいとおっしゃっていました。齋藤先生の後輩だそうです!


製造ラインなどを目の当たりにしたり、実際に組み立てているおばちゃんたちと並んで組み立てる経験は大きい会社だから出来る経験で、とても大事な経験。デザイン以外の経験を今の20代のうちに、理屈抜きに、がむしゃらに、(借金してでも)経験しておくことで、30代、40代になってデザインに戻ってくる。この話をされているとき、実際に経験されたから言える言葉の重みを感じました。


独立した原動力は18年前に「身の回りのものを全てデザインしたい」と思ったことがきっかけ。現在事務所は澄川さん1人で切り盛りされていて、今後もこのスタイルを貫いていくと決めているそうです。誰かが引いた線が気になって初めからやり直し…になるなら、その分忙しく、締め切りも迫ってきて大変だけど自分でやって納得の出来る作品に仕上げたほうがいいという考えだそうです。

最近はPDFでポートフォリオを送ってくる人が多く、ドローグデザインの影響か、オランダからが多いそうです。学生かなと思ったら30歳だったりと年齢問わずだそうです。送られた側としては送られて悪い気はしないので、無理矢理送ってくる押し売りの姿勢を日本の学生も見習ってほしいとおっしゃていました。ポートフォリオの完成度もそうだけど、PDFでも作っておくのが世界標準になってきているそうです。


■(プロダクトデザインにおける)コンセプトの見つけ方

全てのヒントは現場にある
澄川さんのスタンス:「使われる場所、作られる場所に行く」
現場に行くことは根拠や証拠になる。地球の裏側では真逆のことが当たり前のことになっているかもしれない。それを知るには現場に行かないと始まらない。

ex)スポーツウォークマン
ベルトグリップ付きで本来なら腰に付けて走るものだが、実際の現場に行ったら手で持って走っているという現状。腰に付けるとズボンが落ちてくるからという理由があった。
それなら手で持つウォークマンを、と提案したところ即採用。この製品で賞をたくさん取り、それが今の自信に繋がっているそうです。


■プライオリティーをつけてみる

取引=何を犠牲にして何を活かすのか
明らかにプライオリティーの低い要求を突きつけてくるクライアントもいるけれど、それを消して他にもっといいことがあることを提案する。

ex)Miyama ZD
レンズを中心にデザインされた一眼カメラ。レンズのための台座があり、レンズを中心に同心円状に広がった形にすることでレンズを大事に扱っている感じになる。同じ黒でも1台に10色の黒があり、それぞれの機能に合わせて黒を使い分けている。


■動きをデザインしてみる


ex)pekon!
賞を受賞したものの、へこむ部分の金型を作れる会社がなかった。7年後ようやく作れる会社が見つかり、アッシュコンセプトから商品化された。


■手にフィットする形をつくる


■視点を変換

倒れるものを立てると価値が発生する


ex)FUNCTIONAL FLOOR

ex)RIPPLE TRAY
うるしのお盆。円の中心をずらすことで動きが出て面白さとなる。

ex)BEACH/BATH
自身の家にもこのお風呂を設置した。入ると波打ち際にいる感じになる。楽しそう!!


■硬さを利用する


ex)名刺入れ(アッシュコンセプト):シリコンとPPの組み合わせ


ex)scissors(コクヨ):手に当たる部分に穴を開けて手がフィットするようにしている


講義が一段落して、海外でのお話をして頂きました。


上の写真は今までに行かれたところをポインターしたもの。数字にしてみるとまだ世界の1/4だけど、その1/4の国から得られた経験は大きいはず…!お話を聞いていて学部の時にもっと旅行しとくべきだったとちょっと後悔しました。

海外へは何の情報も持たずに行くととても刺激的な経験になるとおっしゃていました。ユタやアリゾナあたりは自然の造形を活かしていて、窓は光ではなく風を入れるための窓として使われるため、戸を押してつっかえ棒で支えるというシンプルな作りになっている。抗争時使われていたお面は今ではお祭りで着けるものと変化している。日本でいう『なまはげ』みたいな感じなのかな?…などなど、写真と共にその地域で体験したお話をしてくださいました。

最後に『分母=視野を広げる』というお話がありました。これこそ学生のうちにやっておくべきだなと思います。自分の修士研究の位置づけをするため色々な論文を調べていますが、多分みんなも思っているかなと思うんですが、調べれば調べるほど自分の知識の無さを感じます。でもそのおかげで「もっといろんなこと吸収しなきゃ!」と躍起になっている時期でもあるなと思います。
前回のゼミでも思ったんですが、今の自分はまだ視野が狭くてカチコチしてる感じです。留学行くことでちょっと視野を広げた気でいたけどやっぱりまだ狭すぎる。もっともっと、視野を広くもっていかないと。

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