2010/06/22

特別講義 _ 小林茂さん

特別講義も後半になってきました。
今回はIAMAS(情報科学芸術大学院大学)で講師をしている小林茂さん。



■現在の仕事に至るきっかけ

・エンジニアとして、フラストレーションを感じていた
・ハードウェアにおいて基盤や配線の位置をどうしたらいいかは全部作ってみてからじゃないと分からないため、作ってから分かった反省点は次回に活かすしかなかった。
・新しいものを作るとき、本当に新しいかどうかを判断するのは過去の経験で判断するしかなく、個人でも判断が異なるため、評価が難しかった
・頭の中で全て考えきってから作るのはもちろんのこと、「作りながら考える」のは難しくスキルが必要になり、プログラミングの知識も要求されるため、授業を受けている学生も断念していく人が少なくなかった


■フィジカルコンピューティング

・NY大のITPから広まった、インタラクションデザインを教えるためのメソッドの1つ
・コンピュータの原理や原則をもう一度考え直そうというもの
・プロトタイプを繰り返しながら感覚的なものとして手を動かしながら覚えていく
・共通言語として身に付け、様々なものがどのように作られ、どう動いているのかを理解するプログラムとして作られた

・完成度が上がり、テクノロジーが成熟しすぎると使いづらくなる
・中身はエンジニア、外身はデザイナーと分けて作っているとある一定以上のものは作れない→その壁をどうやって越えていくか


■Arduino

・5年前ぐらいに日本でも普及し始めた。
・著者のBanzi氏「自分の手を使って作り身に付けていくことが大切」
・Tinkering=いじくりまわす=作って壊して作って次に進むというその過程の中で問題点を発見したり新しい発見を見つけていくことが大切。


■事例

・Mountain Guitar:エアギターのようなおもちゃに見えるけど音はプロフェッショナル。傾けや振りなど情報をワイヤレスでPCに転送している。
・Jamming Gear:ギアを組み合わせた、DJを楽しむようなもの。ギアの歯の数が片方が95、片方が96なので同時にスタートしてもだんだんずれていく。


■ものづくりが行き詰まっている原因

・20世紀は分業化して効率化をはかりプロフェッショナルを育てようとしていたが、昔のやり方では今の時代に合わなくなってきている
・沢山の人に使ってもらうには機能山盛りにしなければならず、その機能がユーザーに伝わるまでに時間がかかっている(分厚いマニュアルを読むなど)

・デザイナー同士、エンジニア同士、デザイナーとエンジニア、お互いが理解して共通にやっていくものとして必要


■オープンソース

・ソフトウェアだけでなくハードウェアにも展開してきている
ーGainer
ーArduino
ーFunnel


■21世紀に必要なもの

・21世紀型の新しいあり方≠中身はエンジニア、外身はデザイナー
・デザインプロセスの中にそろそろ新しいあり方が出てきてもいいのではないか



ワークショップではArduinoを使って実際に動かしてみました。



Gainerと使うものも似ていて、むしろArduinoのほうが分かりやすそう。。。

というわけで、さっそくアマゾンでキットを購入しました。


下の『Prototyping Lab』という本は小林さんの著書です。
トロントに行ってからでは日本語の本は手に入れにくそうな気がしたので、速攻で買いました。


あともう1冊、ご紹介してくれた本があったので紹介します。

『Arduinoをはじめよう』というMassimo Banziさん著書の本で、手書きの絵が味があって面白いです。


Flashをやり始めたころ「何でデザイナーがプログラミングを書かないんだろう。自分でやれば想い通りに描けるのに」と無知ながら思っていたんですが、まさに今日はそのことについてのお話でした。エンジニアもデザイナーも、お互いが共通の知識を持って、プロトタイプを通じて同じイメージを描いていくことが大切。働き始めたら常に意識していきたいです。

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