2011/03/07

重森三玲庭園美術館

ちょうど1年前の今日、インターンシップで京都に2週間いたときに、先生からのお勧めで重森三玲の庭園を訪ねました。小雨が降ってて、残念と思いながら、寒かったのを覚えてます。







書院に通され、館長をされている重森三玲のお孫さんから、重森三玲の略歴、作品、この庭園や茶室の説明をしていただきました。


この好刻庵の奥から見る庭の風景。障子が額縁となり、庭の風景が絵のように見えます。AQUOSの宣伝にも使われた、有名な眺めです。


この和紙が貼られた照明は、彫刻家のイサム・ノグチがこの庭園のために寄贈したものだそうです。




書院正面に向かって左側、茶室「好刻庵」の後ろ側にある中庭。
これより先へは入ることができなかったのですが、小さな中庭にも庭園と統一して岩が置かれていました。左側の簾の奥にかすかに見える柵にも規則性のない柄が施されていました。



続いて、茶室「好刻庵」


庭園側から見た好刻庵の中の様子です。


襖にある波をイメージした市松模様は、当時では画期的な技法で、重森三玲らしい意匠だそうです。


障子の下部は竹(だったはず)をイメージして作られていて、障子を閉めても風景が絶えないように工夫がされているそうです。


茶室『好刻庵』の足先にある、お茶の席で使用する水汲みと、部屋から水汲みまでの飛び石。
この飛び石から先は立ち入り禁止ということで、あまり近くから見ることが出来なかったのですが、主屋でお茶会をする時は、井戸から水を汲み、この水汲みに入れて使用していたそうです。お茶の席を設けているところで、水道水が直に来ているものは駄目。機械的な部分が見えてしまうと雰囲気を壊してしまうため、水道水を利用するにしても、他から汲んできた水を使用するのが正しいそうです。



苔は、今の時期が一番よく生えるそうで、緑色の絨毯を敷いたようでした。


苔の新芽です。木と同じで、苔にも生え変わりの時期があるそうです。石と杉苔の間にあるのが新芽です。また「雨に濡れた石のほうが味わいがあり、良い」とおっしゃっていたのですが、本当にその通りで、石の重みが増して風情が出ていました。


海を意識した庭園で、苔の生えている部分が陸で、石組み部分が波打ち際を表現しているそうです。波を意識して描かれている部分は、桜の花びらが散る頃にはその様子を邪魔しないために真っ平らにしてしまうそうです。









1970年、庭園が作られた時に植えられたもので樹齢約50年だそうです。西日を浴びて成長しているためその方向に伸びてきていているので、庭園を邪魔しないよう剪定をかかさず行っているそうです。今は若い枝を育てることに重点を置いているそうです。



庭園中央にどっしりと構えている赤色の石は、この屋敷が出来たときからあるもので、約200年近く存在していることになるそうです。




入口から自宅と庭園へ導いてくれる石畳も、庭園の波が続いているような曲線で造られていました。



本当に圧巻でした。
時間が止まったようにも思えて、縁側に座りながら『時間を忘れて見ていたい』ってこういう気持ちになのかな、と感じたあの感覚は今でも覚えています。京大の近くにあり、普通に住宅の一角に存在しているのに、中に入った瞬間、外の雑音が消えて、別世界に入ったような気分でした。雨でしたが、雨の雫が落ちる音がまた心地よく響いていました。


京都というと、金閣寺、銀閣寺、東寺、清水寺・・・など、有名な場所はたくさんありますが、京都に行く機会があれば、ぜひこの重森三玲の庭園にも立ち寄ってみてください。見学には予約が必要なのでご注意を(^^)
 

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